私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)

 ホテルに戻ると秋はもうちょっとと言いながらずっと俺の隣にいて、甘えてる。

 やっぱ嬉しそうでニコニコしてた。

「瞬、これかっこよかった」

「は?…お前撮ってたのか」

 いつの間に…。

 秋の手には春馬の試合を録画するためによく持ってきているビデオカメラがあって、試合全体を映すように撮られていた。

 かっこいいと言ったのは、俺よりでかい相手に面取りした場面で、嬉しそうにその試合を見てた。

「ずっと撮ってたのか?」

「団体もあるよ。団体のは先輩のも撮ってたけど、今日は瞬優先で撮ってた」

「なんで?」

「…嫌、だった?」

「嫌じゃないけど、なんで俺優先?」

「え、だって私瞬の試合見に来てるんだもん。マネージャーなら平等じゃなきゃダメだけど、そうじゃないし。それに瞬のお母さんにも頼まれてるし、春ちゃんも見たいって言ってたから」

「…ありがとな」

「うん!」

 なんかやばい。可愛すぎるし…。

 無理やり連れてきてるけど、ちゃんと見てるんだって秋は分からせてくれる。

 それに、やっぱやる気は出る。
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