私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)

「…なんだそれ」

「お礼してくれるんでしょ?ならそれがいい!」

「分かった。でも浴衣持ってない」

「瞬のお母さん持ってるよ?」

「…女もん着ろと?」

「え?お母さんの手作りで瞬の浴衣あるって言ってた」

「…いつの間に作ったんだ母さんは…」

「ついでに私のも作ってくれた!」

「…そ」

 知らない間に母さんと連絡取ってるんだよなこいつ。

 まぁ、親と仲いいのは嫌じゃないけどな。

 楽しみと言って笑う秋が楽しそうで、思わず笑う。

 でも、秋の浴衣姿は誰にも見せたくなかったかもとかちょっとした独占欲が出て来そうになって、押し込める。

 俺のって、本気で言えたらいいのにな。

 でも、この関係を壊すのも怖くて、なかなか言えない。

 それをずっと引きずる羽目にならないことだけを祈った。

瞬桜side END
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