私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)

「瞬、疲れてるならやめてもいいんだよ?」

「やる。お前あんな中にほっとけない」

「夏いるじゃん」

「夏樹もあいつらとそんな変わらないだろ」

 瞬はめんどくさそうにそう言いながら、古びたアーケードに向かって歩く。

 まだ、気にしてるのかな…。

 瞬はなんだかんだ言いながら私のこと守ってくれてる。

 そのきっかけは中1だから、それ以来ずっと。

 家に引きこもった私に勉強を教えてくれたのも、外に連れ出してくれたのも、全部瞬だった。

 塾行くっていったら一緒に入ってくれたし、私の学力に合って、瞬が剣道を真剣にやるための高校を必死に探してきてくれた。

 だから、瞬には感謝してる。

 この商店街が少し息を吹き返してきたのも瞬がいてくれたからだ。
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