私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)

「さぁ!ちゅうも~く!」

 声を張り上げると、子どもたちのみならず大人までも振り返っちゃった。

 やらかした。

 ま、何とかなるでしょ!

「ここに、あめ玉が1つあります」

 お母さんたち買い物再開していいのに…なんでこんなにみんなそろって注目してるんだ~!

 あめ玉を人差し指と中指で挟んで見せる。

 それをさっと握って、女の子の前に持っていく。

「さぁ、あめ玉はいくつ?」

「1つ!」

「残念。正解は2つでした」

 パッと手を広げて見せる。そこには確かに2つのあめ。

 女の子の目が輝いた。

 同時にお母さん方から温かい拍手。

 あはは、しらけなくてよかった…。

 女の子の手にあめ玉を2つのせると、女の子は弟らしい男の子に1個あげて、2人であめ玉を仲良くなめてる。

 仲のよさそうな姉弟に何となく心が痛んだ。
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