私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)

 一方放置された少年Aには、黒髪少年が歩み寄り、なんの遠慮もなしにそのお腹にもう1撃をくわえてしまいました。

 もちろん飛び起きた少年A。自分を見下ろす黒髪少年に慄いたように表情を引きつらせる。

「瞬!無表情禁止!」

「るせ…」

 ぽかっと頭を叩かれた黒髪少年。その背後からひょこっと顔を出した黒髪少女に少年Aは不覚にもどきりとする。

「大丈夫ですか?」

 同じ目線になるために屈んだ黒髪少女に頷くと、ほっとしたように息を吐いて、ペコッと頭を下げている。

「うちの暴走馬がごめんなさい」

「い、いいえ!じ、自分もこんなところでケンカしようとしてたんですから…」

「もう、ケンカしちゃダメですよ?」

「は、はぃぃいい!!」

 ニコッと笑った黒髪少女に少年A、顔が真っ赤に染まる。ついでに先に助け起こして手当された少年Bも同じく。

 そんな少年たちの思いも知らずして、立ち上がった黒髪少女は事態を見つめていた人々に視線を向ける。
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