私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)

「秋奈、お願いね!」

「う…」

 ぎゅっと両手を握られて、ズイッと顔を近づけてくる理紗に言葉が詰まる。

 どうしよう…。

 こんな教室で了承なんかしたらこの後が怖い…。でも理紗引いてくれそうにないしなぁ…。

 この状況どうすれば。

「秋」

「ん、どうかした?」

 後ろから声をかけられて振り返ると、瞬が不機嫌そうな顔をしてた。

 …何かあったっけ。

「今週末は春馬の大会だろ」

「…あ゛ぁ!!?」

 そ、そうだ。今週末は春の大会だった!

 夏の大きな大会前の最後の大会だから春気合い入れてたの忘れてた…。

 もう大きな大会と呼べるのはこの選手権大会と夏の試合だけだ。
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