私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)
道場を出て、自転車置き場に向かうと、秋の自転車を見つけるが本人はいない。
今日は少し先に進めたらしい。
ただ、教室まで行けているかどうか…。
「秋奈ちゃん、GWのご予定は?」
「秋奈ちゃん、今日放課後開いてる?」
「今日は1人なんだね~」
昇降口が見える角を曲がる前に聞こえてきた声に、思わずため息をつきたくなる。
捕まるの早いんだよ。あのバカ…。
角を曲がると、1人に群がる男女関係ない集団。
1つの部活と言う訳ではない。
いろんな部活の部長や副部長…つまり先輩ばかりだ。
1部同級もいるものの、圧倒的に先輩が多い。
その中心にいる秋は愛想笑いで何とかやり過ごそうとしている。
…無理に決まってんだろ。
胸の前で握りあっている手が微かに震えているのが分かる。
昨日の今日で、弱ってたから無理もないか…。