私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)

 道場を出て、自転車置き場に向かうと、秋の自転車を見つけるが本人はいない。

 今日は少し先に進めたらしい。

 ただ、教室まで行けているかどうか…。

「秋奈ちゃん、GWのご予定は?」

「秋奈ちゃん、今日放課後開いてる?」

「今日は1人なんだね~」

 昇降口が見える角を曲がる前に聞こえてきた声に、思わずため息をつきたくなる。

 捕まるの早いんだよ。あのバカ…。

 角を曲がると、1人に群がる男女関係ない集団。

 1つの部活と言う訳ではない。

 いろんな部活の部長や副部長…つまり先輩ばかりだ。

 1部同級もいるものの、圧倒的に先輩が多い。

 その中心にいる秋は愛想笑いで何とかやり過ごそうとしている。

 …無理に決まってんだろ。

 胸の前で握りあっている手が微かに震えているのが分かる。

 昨日の今日で、弱ってたから無理もないか…。
< 88 / 369 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop