私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)
「秋!」
集団の外から呼び掛けると、弾かれたようにこちらを向いた秋は、周囲を囲んでいた奴らが振り向く前にこちらに走って来た。
「瞬!」
人目をはばからずに正面から飛びついてきた秋を受け止めて、頭を撫でてやる。
相当我慢していたんだろう。
「あらら、彼氏登場かぁ」
「残念。じゃ、秋奈ちゃんまたね」
その様子を見て校舎の方へ足を向ける取り巻き達。
秋はそんな奴らを見送る余裕もないのか目を硬く閉じて震えていた。
「秋、大丈夫か?」
「…うん。ご、ごめん」
「まだ1人で行けそうにないな」
「う゛…」
また明日から早起きが決定した秋は少し唸って、やがてがっくりと肩を落とした。