私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)

「あれ、夏まだいたの?」

 さっきまで鬼と化していた秋奈はすっかり機嫌を直していた。

 手に持ってるのは菓子パンだ。

 やばい何も食べてないからお腹減ってきた…。

「足痺れた…」

「ありゃま。ごめんごめん」

 対して悪気なさそうに言った秋奈はポケットから取り出したタブレットを口の中に放り込んだ。

「夏、あーん」

「あ?ッうぐ!?」

 口を開けた瞬間、秋奈が手に持っていた菓子パンが口の中にねじ込まれた。

 毎度のことだけど、あまりにも一瞬で、何が起こったのか分らなかった…。

「どうせ何も食べてないでしょ?」

「だッうぐ…」

「食べながら話さない」

 喋ろうとしたら更にパンを押し込まれた。

 のどにつっかえるわ!!
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