私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)
「別に。じゃ、俺戻るわ」
軽くそう返して、自分のクラスまで走って行く。
「なんだそりゃ」
背後からそんな声が聞こえた気がしたけど、振り返らなかった。
廊下を走って、自分のクラスのドアを開ければ、教室中俺から視線を外すようにそっぽを向いたり、わざとらしく話しはじめたりしている。
そんなことしなくても、お前らに話しかけたりしねぇよ。
お前らを友達だって思わない。
こっちからだって、願い下げだ。
自分の席に戻って、ノートを取り出す。
『中間対策!~赤点回避大作戦(`´)~』
秋の字で書かれたノートは、GW明けから始まるテストの対策がまとめられたノートだった。
進級も正直ギリギリだった俺を秋奈は心配してるからこそ、スパルタで勉強を教えてくれてる。
このノートだって、忙しい合間を縫って作ってくれたもの。
一緒に卒業しようねと言ってくれるのは秋奈だけだから。
そんな秋奈の気持ちを無駄にしたくない。
だから、勉強は嫌いだし、意味不明だけど、俺は俺なりに頑張るしかない。