太陽みたいな人でした。
その日、私は夢を見た。
岩淵先生が泣いている夢。
「先生、泣いてるんですか?」
岩淵先生が顔をあげると涙は出ていないものの目が赤くなり少しやつれていた。
「…どうして泣いているんですか?」
「だって、俺は……。」
そこで目覚ましが鳴り、目が覚めた。
あの岩淵先生が泣くって…。
多分もう一生泣き顔なんてみれないだろうなと思った。
それにしてもなんでこんな夢を見たんだろ。
時計を見ると家を出る15分前だった。
「…っ!やばい!?1時間目岩淵先生だ!怒られる!!」
急いでご飯を食べ、化粧はせずに、マスクをして家をでた。

学校に着くと、チャイムが鳴り、授業の始まりを知らせる。
「やばいやばいやばい…っ!」
急いで階段を登ると少し前を岩淵先生が歩いていた。
「あれ?亜子さん、チャイムはなりましたよ?」
笑顔が怖い。
やっぱり泣いてたのは夢だからこそだな。
「すいません…。」
「別に怒ってるわけじゃないんだからさ。それよりもなんで遅刻したの?」
うわ、怒ってるじゃん。
「…えっと、変な夢見てしまって…」
「変な夢?」
これは内容はなさなきゃいけないのかな。
でも、本人に?
「まあ、言いたくないならいいんだけどさ。」
「あの、岩淵先生って泣くことあるんですか?」
何の話だ?と今にでも言いそうな顔できょとんとしている。
「今日夢の中で岩淵先生が泣いていたんです。正確に言うと泣いた後みたいで目が赤くて少しやつれていたんです。」
「………ふーん。」
何今の間。え?岩淵先生って泣くの?
「亜子さん今、岩淵先生って泣くの?とか思ってたでしょ?」
心を読まれ、目を丸くしていると、
「亜子さん早くしないと遅刻ってことにするけど?」
そう言われ、私は急いで教室へ向かった。
なんだか上手く話を逸らされた気がする。
岩淵先生が泣くのってどんな事なんだろ。
私には想像もつかなかった。
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