初恋シリーズ
背伸びしてキス
今日がずっと来なければいいのにと私は思っていた。


卒業式なんて来てしまえば先輩と会う事なんて

きっとできなくなってしまう。


私が思い続けてきた1年半なんて先輩側からしたらきっと薄っぺらい。


私は寝っ転がっていたソファから立ち上がった。


ヒーターで暖かくなった部屋と外の気温差は相当なのだろうか。


窓に結露ができていた。


それを手で拭き取り体育館の方を見ると雪がちらついき

保護者がぞろぞろと出てきていた。


「そろそろ準備、始めようか。」


私は振り返って後輩と同級生に指示を出した。


私の声に反応して生徒会室のど真ん中にある

大きい机に集まってきた。


乱雑に置かれた各々が持ってきたお菓子の袋を丁寧に広げ、紙コップに

ここに来るであろう先輩の名前を大切に書き上げた。





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