初恋シリーズ
全然違う、先輩のせいじゃないそう思っているのに言葉にできない。


私は代わりに首を振った。


情けない顔のまま、先輩を見上げる。


私はたまらなく泣きそうだった。


滲んだ視界にもはっきりとわかる先輩の乱れた髪に触れた。


おでこに張り付いた髪はしっとりとしている。


今度は驚いた表情の先輩の耳に触れる。


髪は冷たいのに耳は燃えるように熱かった。


かじかんだ私の指先を先輩の熱がホロホロと溶かしてゆく。


幸せすぎて無くなってしまいそうだ。


先輩の冷えた指先を熱が帯びたままの指先でそっと触れた。


こんなにも熱いんですよと伝わればいい。


私の行動に戸惑って赤くなっていると自覚して欲しい。


されるがままの先輩のブレザーのラベルをそっとおさえた。


< 10 / 74 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop