初恋シリーズ
私もそのひとりでクラス対抗のドッチボール大会を勝手に催していた。


劣勢になったクラスを救う大救世主になりうる澤田を呼んでこいと

そうそうに当てられて外野に回っていた私が任命された。


言われるがまま教室に行っても澤田はいない。


めぼしいところはうさぎ小屋ぐらいのもので私は

息を切らせながら走った。


いつも大口を叩いて、喧嘩っ早くて、背も大きくて運動神経はいいけど

頭は少し残念な澤田がうさぎ小屋の前に佇んでいた。


その姿はやけに小さく見えた。


必死で頬を何度も何度も擦っている。


私は直感的に泣いているのだと気が付いた。


小学生ながら初めて体験した声のかけられない状態に私は戸惑って

声もかけずに逃げ出した。


澤田は強いから泣かないんだと私はどこかで思っていたのだ。


帰り道に職員室で先生が噂をしているのが耳に入った。


『澤田のみよじが小池に変わったらしい。』と。


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