初恋シリーズ
あのグループの人達は声が大きいから私の耳にも色々な情報が入った。


地元で有名な高校を受けるとかお姉さんと同じ大学を受けたいだとか

私が聞きたいものばかり。


グループないの女子がトイレに行っている隙を狙って

澤田の隣にいた男子が脇腹をつついた。


「姉弟でキスとかしないのかよ。」


年頃だからと言ってそんな妄想をしていたのかと私は渋い顔をする。


私は澤田、言ってやれと心の中で叫んだ。


「姉ちゃんとは全然なんでもねぇよ。」


全然に不自然さを覚えて澤田の方を反射的に見てしまった。


私の中から確かなものが崩れていくのを感じた。


目が合うだけで嬉しかったのも嘘のように澤田を見てはその影に

お姉さんが見え隠れするようになった。


私は勉強に没頭してなにがなんでも澤田と同じ高校に通うことを決めた。


私が蓄積してきた小学生の頃からの澤田との時間は

家族のお姉さんから見ればほんの一瞬だ。
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