初恋シリーズ
状況が飲み込めないまま私は頷いた。


立ち上がって見上げるとそんなに背が高くないのだと気づいた。


「あ、俺ここのサッカー部に所属してて1度見たことがあったんです。」


私は澤田の姿は見かけなかった練習試合を思い出した。


何の為にマネージャーをしているのかわからなくなった記憶だけがやけに

しっかり覚えている。


「すいません。あ、俺、町田遥(まちだはる)って言います。」


「吉田保奈美(よしだほなみ)です。」


一応答えておく。


サッカー部なら澤田のことを知っているだろう。


そもそも今でもみよじは澤田で通っているのだろうか。


他人に過去をペラペラと語られたくないだろうと私は聞くのを諦めた。


「はるまちー、おっせーぞ。」


町田さんの背中に乗りかかったがたいのいい男を見て私は目を見開いた。


「あ、わり。取り込み中だった?」


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