初恋シリーズ
「ごめんね。みよじ、どうなったか知らなくて名前で呼んじゃった。」


澤田が瞬きを繰り返している。


「あれ、言ってたっけ?」


私は首を左右に振った。


「小学生の時先生が立ち話してるの聞いちゃって...。小池だっけ?」


疑問形にしたものの記憶ははっきりとしていた。


「そう。今は小池で通ってる。」


澤田が笑いながら首を掻いた。


「澤田って呼んでたのに小池っていきなり呼ぶの無理そう。」


ミルクティーが入ったプラスティックのコップに白くヒビが入る。


「ならさっきのでいいよ。俺も下の名前で呼ぶ。」


思惑通りに進んで私は唖然とした。


「吉田なんだっけ?」


愕然としたが澤田にそこまでは要求しない。


私は「保奈美だよ。」と言って微笑んだ。


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