初恋シリーズ
澤田は手を打って私を指した。


それからふたりで顔を見合わせて笑った。


澤田に連れられて木製のベンチに座った。


隣同士で話すことなんて初めてで私は少し強ばった。


ただ隣に座っただけなのに鼓動が速い。


「さ、りょ...すけは元気?」


緊張のあまり自分が何を言ったらいいのかわからなかった。


カップの水滴が手に垂れた。


「元気だよ。あーでもサッカー部の練習はキツすぎるな。」


澤田は馬鹿みたいな質問にも真面目に答えてくれる。


私の学校に来たのは2軍だったから澤田はレギュラーなのだろうか。


「練習試合あったんだけど私の学校に来てなかったよね。」


土埃が舞うグラウンドを目を凝らしながら澤田を探したことを思い返した。


あの日は異常なほど暑くて光化学スモッグが発令されていた。


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