初恋シリーズ
何について謝っているのかもうわからない。


「どうしたんだよ。」


場を明るくしようと振る舞う澤田の優しさが今の私には痛い。


私は立ち上がって澤田を見下ろした。


そして驚いている澤田の手をとった。


何故か私にはここのタイミングしかないと思った。


くだらないプライドで伝えられないこととかお姉さんに勝つこととか

この際本当にどうでもよくなった。


澤田と同じ位置に立つためにはこの想いはしまって置くのは不可能だ。


この先どうなるのか澤田にも私にもお姉さんにもわかるはずがない。


私は息を大きく吸い込んだ。


「好きです。」


自然と笑みが零れる。


「小学生の頃からずっと。」


一呼吸置いてから澤田をしっかりと見つめた。


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