初恋シリーズ
最小限にドアを開け、すり抜けるように出てきた。


ドアをそっと閉めてから彼が右手をヒョイっと上げた。


「おいっす。」


スエットパンツとパーカー、クロックスの姿は私と対して

変わらないやる気だった。


「なんか冷えるな。」


ポケットに手を突っ込んで彼が非常階段に腰掛けた。


「もう秋だし。」


私も当然のように彼の隣に座る。


「おー、そうだな。」


彼が頬を掻きながらつぶやいた。


こう毎日会っていると話すこともなくなってくる。


けして無言の時間が嫌いな訳では無い。


会いたいから会いにきている。


私の動機は彼が好きに尽きる。


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