初恋シリーズ
ただそれだけだから言葉は要らない。


ほぼ決まった時間に会うことが習慣だから疑問もなく家からでてくる

のだろうが彼は私をどう思っているのだろう。


そんなことを聞けるはずもなかった。


「お前そのパーカーほんと好きだよな。」


格安で買ったロゴ入りパーカーのフードを引っ張られた。


そういう彼もブランドは違えど同じようなパーカーをいつも着ている。


「うっさい。」


彼のフードを掴んで頭に被せた。


反動で前屈みになったまま転びそうになる彼の腕を咄嗟に掴んだ。


「なーんてな、うっそー。」


手をひらひらと振って私を挑発してくる彼の背中を

思いっきり平手打ちした。


「いってぇ。」


見えもしない背中を見ようと首を回している。


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