初恋シリーズ
「あんたが悪い。」


私はぷいっとそっぽを向いた。


別にやる気のない格好をしているのは意図的で、

『俺と会うからオシャレしてきてやがる。』

と勘づかれてしまうのが恥ずかしいのだ。


噂が出回った方が告白しやすいよと友達にアドバイスを貰ったものの、

こんな近距離に住んでいてフラレでもしたら私は腫れ物になってしまう。


好きだと伝えるのにはタイミングだって勇気だってその他諸々と

用意するものがあるのだ。


「あれ。」


彼が鼻を私の髪に近づけて吸った。


あまりの衝撃に体が硬直する。


「風呂上り?」


この無神経さには流石の私の苦笑してしまう。


「何、ダメなの?」


つっけんどんな言い方を直したいものの照れ隠しなので中々直せない。


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