初恋シリーズ
「いや?悪くはねぇけど...ブラ着けてんのかなって。」


じっと私の胸元を見てくる彼の頭にげんこつを落とした。


頬を膨らませてすねられても今のはどう考えても彼が悪いと思う。


夜風で足の指先が冷える。


手で服を擦って暖めてはみるもののそうそう変わらない。


「寒いのか?」


彼が顎を膝につけたまま首を回した。


「まあ、秋だしね。」


擦る手を止めて私は呟いた。


「ふーん。」


たいして興味もなさそうに答える彼が私の方に寄ってきた。


「俺も寒い。」


二の腕で私のことを押した。


触れているところがじんわりと暖かい。


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