初恋シリーズ
期待していた訳では無い。


しかしこれはあんまりではないだろうか。


私は怒りの余り溝落ちに一撃を食らわせていた。


そのまま後ろへ倒れ込む彼の上に跨って右手を掴んだ。


「そんなに見たけりゃ触らせてやる。」


やけになった私は彼の右手を私の胸に押し付けた。


硬い手の感触が1枚の布越しにも伝わって自分とは違うのだとわかった。


急に恥ずかしくなった私は彼の右手を引き剥がすと非常階段を

勢いよく駆け下りた。


自分の家の玄関から彼を見上げたが、寝転んだままだった。


「私のアホ。」


ドアに頭をぶつけてから家に入った。


ドアノブに手をかけてから今日は行くのをやめようと手を引いた。


昨日の今日ではまだ気まずい。


別に約束している訳ではないのだからおかしくは無いはずだ。


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