初恋シリーズ
流石に電話はかけないと変に思われるかもしれないとアドレス帳を

開くと丁度電話がかかってきた。


コール1回で電話をとった。


「もしもし。」


戸惑いが声に乗る。


「...俺だけど。」


彼のくぐもった声が私の耳をくすぐった。


いつもなら知ってるしと答えるところを私はあえて黙り込んだ。


「来ないのか?」


ぶっきらぼうに言う彼の声からいつもの不器用さを感じられた。


「うん、行かない。」


玄関のドアに背中をつけた。


鉄の冷たさが昨日の出来事を思い出させる。


彼からは何も言われずブチッと切られた。


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