初恋シリーズ
私は制服のスカートを思い出した。


彼が何をしに来たのかよくわからない。


馴れない薄手のひらひらとしたスカートが夜風に吹かれた。


彼が咳払いをして私を見つめた。


私はすぐに逸らして下の駐車場に目をやる。


近付いてきた彼がおずおずと私の指に触れた。


「あのさ。」


彼の優しくつまむ指は冷たい。


私は黙って彼のスニーカーに目を落とした。


「今からすること絶対に怒らない?」


なにをされるのかわからない。


しかし嫌な感じはしなかった。


私は彼を見た後、黙って小さく頷いた。


私の手を掴むと覚悟を決めた顔をした。


< 43 / 74 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop