初恋シリーズ
彼は勢いよく自分の胸板に私の手を押し付けると必死で羞恥を

耐えているようだった。


「こ、これでおあいこということで。」


私は唖然としてしまった。


今までの雰囲気はどこにいったのか、もしかして私だけが感じていた

のか頭を悩ます。


彼の必死な顔に私は思わず微笑んでしまった。


そこに呆れが無かった訳では無い。


「ちょっと待ってて。」


私が笑ったからか目をキラキラとさせている彼を待たせて家に入った。


いつもはタンスの奥の方にしまってあるパンプスカバーを手にした。


いそいそと玄関先で履くとショートブーツに足を通して

チャックをしめた。


ドアを開けるとキラキラ顔のままの彼と目が合った。


ドアから出ると今度は真顔になって不機嫌そうな顔をした。


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