初恋シリーズ
彼が手を忙しなく動かしている。


私は首を横に振った。


「私のことはいいの。そっちは?」


彼は聞きたいことがまだある様だがぐっと堪えている。


「正装的な...?」


彼は私から視線を逸らして頭を掻いた。


正装とは一般的に制服をさすのではないだろうか。


「と、とにかくもう怒ってないよな?」


私は綺麗に結っていたシュシュをほどくとマンションの手すりを

掴んで伸びをした。


「怒ってない。」


それを聞いて安心したのか彼が私の横に立った。


ほどいてぐしゃぐしゃになった髪に指を通した。


夜風が髪の毛をゆらりと揺らす。


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