初恋シリーズ
早々に解き終わって時計を見るふりをした。


バッチリと目が合うと先生は教卓を指さして口をぱくぱくさせた。


多分『集中』だと思う。


先生を無視してじーっと見つめた。


呆れた顔をしてから困ったと笑う顔が家での先生と同じだった。


教室で垣間見る先生の家の顔が私はたまらなく好きだ。





今日は先生の家には行かず家に帰る。


玄関に着くなり聞こえてきたのは母親の愚痴だった。


電話をしているようで話し方からして親しい人だと思う。


内容が内容でアラフォーをとっくにすぎた母親の床事情なんて

最悪だ。


私はすぐさま自室にこもり、先生に借りたバンドのCDを延々聞いた。


母親は私の靴を見つけたのか部屋に入ってきた。


「これから行くところあるから一週間よろしくね。お金はあげたでしょ?」


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