初恋シリーズ
私はスカートのプリーツを撫でた。


「やるなら思いっきりだぞ?」


私は大きく頷いた。


棟を繋ぐ渡り廊下の一階は壁がないためいきなり外だ。


先輩は私の腕とドアを掴んで一呼吸してから開け放った。


流れ込む空気は廊下よりさらに寒い。


先輩に引かれ飛び出した外は卒業生が誰ひとりもいない、

白の世界だった。


廊下から外れて校舎の周りを遠回りする。


足型がついていない雪の上を二人で走る。


大袈裟だけど二人だけの世界と表現したくなった。


顔を上げると先輩のブレザーが揺れている。


こんなにも近くに先輩がいる。


私は急に先輩の腕に寄り添いたくなった。


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