初恋泥棒
そうして、徐々に近づいてくる裕翔の顔。
怖くて、ついギュッと目を瞑る。
……これって、これって、もしかしてキーー
「ばーか」
「へ?」
目を開けた時にはすでにベッドから立ち上がっていた裕翔。
ワケが分からなくて目をパチクリさせていると。
「俺がサクに手ぇ出すわけないでしょ」
そんな、満面の笑みで言われても。
さっきの状況なら勘違いしてしまうよ。
……本当は手、出してくれても良かったんだけどな。
「俺ら幼馴染だもんね」
幼馴染、だからだよ。
私はその幼馴染の壁を破りたい。
そう思うのに。