初恋泥棒


「サク、着替えるから出てって」


冷たく言い捨てられて、のそのそと部屋を出て行こうとする私。


「ごめんねっ。じゃあ、私、先に行ってるから」


と、ドアを閉める直前。


「下で待ってて。チャリの後ろ、乗せてやるから」


優しいんだか、冷たいんだか。


「ありがと」


それでも嬉しくて。

すごく嬉しくて。


おばさんにバレないよう、真っ赤に火照る頬を両手で押さえて家を出た。


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