小さな手のひら
「…すいません」
言った瞬間、少年はびくっと肩を揺らす。
(…つーか、え?)
そのまま振り向いた少年はまたあの走り去った時のように、
林檎並に真っ赤な顔をしていた。
(何でそんな赤いんだよー)
こっちまで照れる。もらい照れ?
「何ですか、」
また小動物みたいな声を出して、あたしを見た。
(…やっぱり、眼綺麗だ)
いやむしろそんなことよりも、
何でこの少年は涙目なんだ。あたしはそんなに怖そうな雰囲気なのか。
(…まぁ、いいか)
早く返して帰ろう。
「これ…昨日、借りちゃったまま返せなかったんですけど」