小さな手のひら
慌てて蒼眼少年の手を取ると、人目があまりつかなさそうな木陰に引き連れた。
依然として、少年は涙を流したまま。
(なんか拭くもの……あ)
出てきたのは、貸してもらったハンカチ。
「えー…と、袖が濡れちゃいますから。
とりあえずこれで拭いてください、焦らなくてもいいです」
少年は素直に、ハンカチを受け取ってくれた。
(…これで用は済んだんだけどなぁ、)
放っておけない。
しばらくして少年は、落ち着いてきたのかしゃっくりが治まってきた。
だけど、あたしと少年の身長差は顔一個分違う。低いのはもちろん少年の方だ。
だから頭では全く様子がわからない。
ひょい、と顔を覗き込んでみる。
「…大丈夫ですか」
(……、顔も可愛いかもしれない)
気がついたら少年は顔を真っ赤にして、
「大丈夫なので、顔を離してください」と目を泳がせながら呟いた。