小さな手のひら
伊吹憐(いぶき れん)。高校1年ぴっちぴちシックスティーン。
ちなみに女子。
女子の癖に紛らわしい名前してんじゃねーよ、なんてのはご愛嬌。
さらに言っておくとあたしの兄の名前は「凛(りん)」。せめて、逆にして欲しかった。
まぁそんなことは全くもってどうでもいいことであったりして。
「……おわっ」
バサバサッガタンッ ゴッ
(いって、ぇ)
「うわ、なんかくさい!くさ…」
星が飛んだ視界の中に、油ギッシュな何かが入る。
…あれ。
「……おはようございます、先生」
「よく寝れたか?」
「…お陰様で」
教室中に含み笑いやら何笑いやらが広がった、そんな6月の日だった。