夏の嵐と笑わない向日葵
②手紙と突然の来客者
朝、目が覚めると、郵便屋さんの実卓 透(みたく とおる)さんの声が聞こえた。
「向日葵ちゃーん、手紙が届いてるよー!」
「ん……手紙??」
あたしは布団から出て、手ぐしで髪を整える。
いつの間に起きたのか、ノラはいなかった。
「実卓さん、手紙って…」
あたしは寝巻きの白いワンピースのまま、実卓さんから手紙を受けとる。
宛先は間違いなく"加島 向日葵様"あたしだ。
差出人は……。
「三木 杏(みき あん)……?」
え、誰だっけ??
杏……杏……。
あ、確か昔に杏って親友がいるっておばあちゃんが言ってた気がする。
「でも、何でその杏さんから手紙が……」
「それじゃあ、また来るね、向日葵ちゃん」
実卓さんはそう言って配達に戻る。
あたしは、その手紙を見つめながら首を傾げた。