夏の嵐と笑わない向日葵


「ニャー!」

「わっ……ノラ、ごめん」


これは、ご飯をくれの合図だ。


大きな声で鳴くから、驚いて手紙を落としてしまった。
あたしはそれを拾って、机の上に乗せる。


「はい、ノラ」


ノラのご飯を用意してから、あたしは着替える。


紺色無地のワンピースに身を包み、髪はいたものように後ろで三編みにして、黄色のリボンで留めた。


「長くなったな……」


鏡台に映るあたしの髪は、腰の辺りまで伸びていた。



「外、暑そう……」


朝起きてすぐに、向日葵畑に水やりするのがあたしの日課だ。麦わら帽子を被り、外へ出ようとしてふと思い出す。



そうだ、手紙……。


机の手紙の事を思い出して、あたしはそれをポケットにいれた。



後で、水やりの後にでも読もう。
今日も暑くなるし、早くしないと向日葵が枯れちゃう。






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