夏の嵐と笑わない向日葵
⑦切ないけれど寄りそって
想いが通じ合ってから3日が経った。
あれからというもの、あたしと嵐君の関係はガラリと変わった。
何が変わったって、嵐君のあたしへのスキンシップだ。
「向日葵ー、何でどんどん離れてくんだよ?」
「ち、近すぎるから……」
夜、暑苦しい夏の季節だというのに、嵐君はあたしと一緒に寝ると言って聞かなかった。
後ろからあたしを抱き込んで満足そうに笑う嵐君に、あたしも、本当は……嬉しいのだけど。
近いから、心臓がもたない。
「離れんな、俺の傍にいろよ」
「うう……はい」
あたしはついに観念して、あたしはおとなしく嵐君の腕のなかで目をつむる。
あぁ、温かいなぁ……。
ノラを抱いて寝るのとはまた違う。
あたしが、ノラになったみたいだ。
「向日葵は小さいな」
「嵐君が巨人……って、この話、前もした?」
確か、出会ってまもない頃、向日葵畑でこんなやり取りをしたのを思い出す。
「そーいや、したな。早ぇーよな、時間が過ぎるのは」
「そうだね……」
そうして、嵐君と居られる時間は、限られてる。
夏休みが終われば、嵐君は東京へ戻らなきゃいけないし、あたしは…。
この場所を離れられない。
おばあちゃんの残した家と、向日葵畑を守らなきゃ。