夏の嵐と笑わない向日葵
「ノラ、ちょっと出てくる」
そう声をかけても、ノラはお皿から顔も上げない。
まったく、薄情者。
ご飯の時はあたしを完全無視するのだ。
「はぁ」
ため息をついて、あたしはサンダルを足にひっかける。
そして、外へと出ると、相変わらず、痛いくらいの日差しだった。
畑の蛇口にホースを取り付けて、向日葵畑へと水をまく。
ジャーッ!!
水しぶきが、太陽の光に反射して、虹を作った。
「………綺麗…」
あたしは、この光景がわりと気に入ってる。
この時間だけは、何も考えずにいられた。
「ニャーッ!!」
「………?」
ご飯の途中のはずのノラの声が聞こえた。
そして、こちらへと全力疾走してくる。
珍しい、ノラがご飯投げ出してくるなんて。
まさか、もう食べたの??
あたしは蛇口をひねり水を止める。
「ノラ、どうし……」
「お、おい!待ってくれー!!」
すると、ノラの後ろから、見知らぬ男の子が走ってきた。
金髪で耳には銀のピアス、黒いTシャツにだらしないくらいに腰パンした男の子だ。