夏の嵐と笑わない向日葵
「体調が悪いねー、ここで浮気してたくせに」
「っ!!」
すると、愛美さんがあたしを蔑むような目で見て、笑った。あたしは、何も言えずに俯く。
何を言えるだろう。
嘘ついたのは、変わりないのに……。
地面を見つめていると、愛美さんがあたしに歩みより、そっと耳打ちした。
「本気じゃないなら、あたしに譲ってもいーでしょ?」
「っ!!」
あたしは、息を詰まらせて、愛美さんの言葉を頭の中で何回も繰り返す。
譲る?
譲るなんて、そんなの出来ない……。
あたしは、嵐君の事がこんなに好きなのに。でも、嵐君はどうだろう…。
あたしの事、好きじゃなくなったら……愛美さんを先になっちゃったら?
「愛美、嵐が向日葵ちゃんをずっと好きだったのは知ってるでしょ」
「そーだぜ!懲りねぇな、愛美は」
たもっちゃんと啓君は状況を理解したのか、フォローを入れてくれる。
だけど、愛美さんはあたしの手を掴む嵐君の手を奪い取る。そして、抱きついた。