夏の嵐と笑わない向日葵


「それで……あなたがお孫さん?」

「あぁ!俺は久我 嵐(くが あらし)、向日葵ちゃんに会いにここまで来たってわけ」


久我…嵐君。
なんというか、話が読めない。


手紙を読むに、杏さんも状況がわからないようだし……。


「久我君、どうしてあたしに……」

「同い歳なんだし、嵐、嵐って呼べよ」


え、同い歳??
あたしの歳も知らないくせに、何でそう言いきれるの?


しかも、あたしの言葉を遮って、久我…嵐君はあたしの肩を抱く。


「!?」


驚きにあたしはフリーズしてしまった。


何、この状況。
なんであたし、今日出会ったばかりの嵐君に抱き締められてるの??


「あ、あの……離れて」

「え、何で??」


何で??
いや、こっちが何でって言いたい。


チャラい、チャラすぎる。


「何で?じゃない、早く離れて」

「うお!?」


ベリッと嵐君を引き剥がし、あたしは睨み付けた。


「理由は分からないけど、来られても困る。だいたい、あたしに何の用なの」


久し振りにこんなに話した。
分けが分からなすぎて、頭が痛いし疲れた。



「何の用って、向日葵ちゃんに会いに来たって言ったじゃねーか」

「だから、何で?」


おばあちゃんの親友が杏さんなのは分かる。
でも、そのお孫さんがあたしに会いに来る理由は??














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