夏の嵐と笑わない向日葵
ようやく寝付いた頃には、朝日が登った頃だった。
隣で眠る嵐君の前髪をそっと撫でる。
「ごめんね…」
朝まで、不安にさせた。
きっと、あたしが眠るまで、嵐君も寝れなかったんたと思う。
あたしも、寝れたのは朝日が登った頃で、またこうしてすぐに目が覚めてしまった。
「ニャー」
すると、ノラは嵐君の傍に寄り添い、またくるまって眠る。それを見届けて、あたしはいつもの向日葵の水やりへ出掛けた。
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麦わら帽子を被り、ホースを持って向日葵畑に着くと、いるはずの無い先客がいた。
「愛美さん……」
ゆらゆらと風に吹かれるまま、揺れる向日葵を見つめて、立ち尽くす愛美さんは、どこか切なかった。
その理由は、嵐君だと思った。
愛美さんは、ずっと嵐君が好きだったって言ってたから。
「ここは、何?」
愛美さんは、振り向かずに向日葵畑を見つめたまま、尋ねてくる。何故か、昨日までの刺々しさが無かった。