夏の嵐と笑わない向日葵
「ここは…おばあちゃんが大切に育ててきた、向日葵畑です」
あたしは、愛美さんはの隣に立って、一緒に向日葵畑を見つめた。
風が、あたしと愛美さんの髪をさらい、規則正しく向日葵達を右へ、左へと揺らす。
「ここに……1人で暮らしてんの?」
「はい。両親が亡くなって田舎のおばあちゃんの所へ来て、おばあちゃんが亡くなってからはずっと」
愛美さんは、何故かあたしに質問ばかりしてくる。でもそれを、嫌だとか、そんな風には思わなかった。
「寂しかったりした?」
「そう……ですね。どうだったろう……」
3年ほど経ったけれど、1人が寂しいと思ったのは、つい最近だった。
いや、本当は寂しかったのに、それに気づかないふりをしていたのかも。
「正直、おばあちゃんが死んでからのあたしは、悲しいとか、寂しいとか……そういう感情が欠けてしまってました」
「それって……考えると辛いから?」
そこではじめて、愛美さんがあたしの方を向いたのが分かった。なので、あたしも真っ直ぐに愛美さんを見つめ返す。