夏の嵐と笑わない向日葵


「ずっと1人でいたから、辛いなんて考える事もしなかったんです」

「そんな……」


愛美さんの同情と憐れむような瞳に、あたしは首を横に振って、笑みを浮かべる。


「でも、嵐君と出会って、あたしは初めて1人がこんなに寂しかった事に気づけました」


あたしに、寂しい、悲しいという気持ちと、楽しい、嬉しいという気持ち、そして笑顔を思い出させてくれた。


「嵐君は……あたしを変えてくれた人です」


こうして、誰かに自分から関わろうとする事自体が、あたしにとっての変化だ。


「嵐はね、あたしの事も変えてくれたんだ」


すると、ぽつりと愛美さんが呟く。


「あたし、自分で言うのもアレだけど、男に良くみられたくて、ぶりっ子してたんだよね」


まるで、自分を卑下するような笑みに、あたしは胸が締め付けられた。


「誰にでも、可愛く見られたいって思って何がいけないの?とか思ったけど、八方美人のヤリマン女とか言われたし」



前髪を掻き上げて、空を見上げる愛美さんは、その時の心の傷を思い出して、泣いているように見えた。























< 155 / 200 >

この作品をシェア

pagetop