夏の嵐と笑わない向日葵
「ずっと1人でいたから、辛いなんて考える事もしなかったんです」
「そんな……」
愛美さんの同情と憐れむような瞳に、あたしは首を横に振って、笑みを浮かべる。
「でも、嵐君と出会って、あたしは初めて1人がこんなに寂しかった事に気づけました」
あたしに、寂しい、悲しいという気持ちと、楽しい、嬉しいという気持ち、そして笑顔を思い出させてくれた。
「嵐君は……あたしを変えてくれた人です」
こうして、誰かに自分から関わろうとする事自体が、あたしにとっての変化だ。
「嵐はね、あたしの事も変えてくれたんだ」
すると、ぽつりと愛美さんが呟く。
「あたし、自分で言うのもアレだけど、男に良くみられたくて、ぶりっ子してたんだよね」
まるで、自分を卑下するような笑みに、あたしは胸が締め付けられた。
「誰にでも、可愛く見られたいって思って何がいけないの?とか思ったけど、八方美人のヤリマン女とか言われたし」
前髪を掻き上げて、空を見上げる愛美さんは、その時の心の傷を思い出して、泣いているように見えた。