夏の嵐と笑わない向日葵
「昨日、はっきり嵐に言われたの。俺がずっと好きなのは向日葵だって。何があっても、変わらないって…」
嵐君………。
あたしの事、そんな風に考えてくれてたんだ。
それが、たまらなく嬉しい。
「分かってた。どんなに傍にいたって、嵐はあたしなんか見てない。あなたを見てるって」
そう言っている愛美さんは、どこか吹っ切れたような顔をしていた。
「あーあ!いい男だったのになー!まぁ、あたしならすぐに他の男捕まえるし!」
大声で伸びをする愛美さんに、あたしも決意する。あたしは、愛美さんの目の前に立って、まっすぐ見つめた。
「嵐君の事があたしは好きなので、愛美さんには譲れません」
「うん」
あたしの顔を見た愛美さんも、まっすぐにあたしを見つめ返す。
「でも、こんな風に、辛いのに前を向こうとする、こんな魅力的な愛美さんには、きっと素敵な恋が出来ます」
「え……?」
「愛美さんは、あたしに言いました。全てを捨てる覚悟があるって、愛美さんは強くてカッコイイ女の子です」
その人を1番に好きになれるというのは、誰にでも出来る事じゃない。
「なっ……そ、そんな事初めて言われたわ。あなた、本当お人好しすぎない?普通、怒るでしょ、口も聞きたくないでしょ?」
驚いたような、呆れたような顔であたしを見つめる愛美さんに、あたしは小さく笑う。