夏の嵐と笑わない向日葵
ブワッ!!
「………から」
嵐君が何かを喋り始めたと同時に、強い風が吹いて、何も聞こえなかった。
向日葵が、それに合わせて激しく揺れる。
「今、なんて……」
「とにかく!俺は向日葵ちゃんにどうしても会わなきゃなんなかったんだよ!!その為に、東京から来た!」
何故か、顔を真っ赤にしながら怒り出す嵐君に、あたしは首を傾げた。
おばあちゃん、おばあちゃんは何か知ってるの??
これは、一体どういう状況だろう。
「だ、だから!!俺は……お…れ……」
「……え?」
すると、何故かロボットのように言葉が途切れたかと思うと、嵐君の体は急にぐらついた。
「あ、嵐君!!」
体を支えようと嵐君の体に触れると、驚くくらい熱を持っていた。
「はぁっ……あ、頭痛てー……」
それに、顔もすごく赤いし、唇はカサカサしてる。まさか、これって……。。
「ね、熱中症……??」
見上げれば、それは刺すような日差しだなとは思う。
それに、コンクリートでなくても、高い建物もなければ、もちろん日陰のある場所も少ない。
ずっと日の下を歩いてきたのも分かるし、東京の気温とはありえないくらいの差があるけど…。
だからって、熱中症になるとか、ありえない!!
「ち、力が抜ける………」
「ま、まって!もう少し歩いて!」
160㎝と決して低くないあたしの身長を容易に抜くざっと180㎝ほどある大の男を抱えながら、あたしは縁側へと引きずるはめになった。