夏の嵐と笑わない向日葵


「ニャー」


まるであたしの不安な心を見透かして、寄り添うノラに、あたしはぎこちなく笑う。


「ノラ……そうだ、嵐君、出掛けてから随分と時間が経ったけど、どうしたんだろう」


昼間、嵐君は出掛けてくると言って、家を出ていった。


そういえば、嵐君出掛けるってどこに??
こんな田舎、出掛けて楽しめるような所、どこにもない。


縁側に出て、門の方を見つめる。
人の気配も何もない。


「あ……」


ポツポツと雨の跡が土に移り始めた。そして、次第に雨足は激しくなる。


嵐君、傘持って無い!!
大変、絶対に濡れちゃうよ……。


東京みたいに、すぐに傘が買えるようなコンビニとかはない。あたしは慌ててタオルやらお風呂やらを準備する。


それでも、いても立ってもいられずに、あたしは傘をさして門の前で嵐君が帰ってくるのを待った。
























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