夏の嵐と笑わない向日葵
ザーッ
傘にまるで打ち付けるかのような雨。
履いた靴に、雨水が染みて、冷たい。
嵐君……。
どこ、行っちゃったんだろう……?
というより、帰ってくるのかな……。
嵐君、もしかして東京に帰っちゃたりしてないよね?
自分の行動を振り返って、嵐君に嫌われるような事をしてないかをもんもんと考える。
この雨が、冷たさが、どんどん悪い方へと思考を誘導する。
「嵐君、いなくなったりしないよね…?」
あたしは、門の前で嵐君を待ちながら、だんだん心細くなり、涙が滲んできた。
「帰ってきて……お願いっ……」
ポロポロと流れ落ちる涙、止め方が全然分からなかった。
それで、改めて気づく。
あたし……こんなに、嵐君が居ない事に恐怖を感じてる。
たったそれだけの事なのに、あたし……。
全てを捨てて東京へ行くのはできない。
だとして、1人でここに残る事が、どんなに不安なのか、身をもって知った今、嵐君の傍を離れるなんて、言えない。
「あたし……優柔不断すぎ……」
捨てられない、傍にいれない。
そう言ったのに、捨ててしまいそうな程、傍にいたい。
もう、自分でどうしたいのかが分からなくなってる。