夏の嵐と笑わない向日葵


ザーッ


傘にまるで打ち付けるかのような雨。
履いた靴に、雨水が染みて、冷たい。



嵐君……。
どこ、行っちゃったんだろう……?


というより、帰ってくるのかな……。
嵐君、もしかして東京に帰っちゃたりしてないよね?


自分の行動を振り返って、嵐君に嫌われるような事をしてないかをもんもんと考える。


この雨が、冷たさが、どんどん悪い方へと思考を誘導する。


「嵐君、いなくなったりしないよね…?」


あたしは、門の前で嵐君を待ちながら、だんだん心細くなり、涙が滲んできた。


「帰ってきて……お願いっ……」


ポロポロと流れ落ちる涙、止め方が全然分からなかった。
それで、改めて気づく。


あたし……こんなに、嵐君が居ない事に恐怖を感じてる。
たったそれだけの事なのに、あたし……。


全てを捨てて東京へ行くのはできない。


だとして、1人でここに残る事が、どんなに不安なのか、身をもって知った今、嵐君の傍を離れるなんて、言えない。



「あたし……優柔不断すぎ……」


捨てられない、傍にいれない。
そう言ったのに、捨ててしまいそうな程、傍にいたい。


もう、自分でどうしたいのかが分からなくなってる。



















< 163 / 200 >

この作品をシェア

pagetop