夏の嵐と笑わない向日葵


「その、笑った顔が見たかったんだ。やっぱ、向日葵は笑顔がめちゃくちゃ可愛いわ」

「なっ……あ、ありがとう…」


ストレトートすぎる誉め言葉に、慣れていないせいか、いちいち動揺してしまう。


顔が真っ赤になっているのは百も承知だけど、嵐君にどうしても伝えたい事があった。


「あたしが……こんな風に笑えるようになったのは、嵐君のおかげだよ」


今のあたしは、嵐君と出会えたから生まれた新しい自分。


自分を責めていたばかりの日々から、これから自分がどうやって生きていきたいのか、希望をくれた。


「嵐君が好きだって言ってくれるあたしだから、自分を好きになれた」


まだまだ後悔や悲しみに心を奪われそうになってしまう事もあるけれど、それをひき止めてくれるのは、今まで嵐君がかけてくれた言葉だったりする。


孤独から救ってくれた人。



「あたしと出会ってくれて、本当にありがとう」


何度ありがとうを言っても足りないくらいに、あたしは嵐君に感謝してる。


たとえ、引き寄せたのがおばあちゃんの手紙だったり、初恋の相手があたしだったからだとしても…。


忘れてしまう事も、見てみぬふりもできた。


それでもこうしてここへ来てくれたのは、今の嵐君があたしを想っていてくれたから。






















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