夏の嵐と笑わない向日葵
「そんなん……俺の台詞だし!」
「嵐君……?」
そう言った嵐君の声が震えていて、あたしはその顔をのぞき込む。すると、ツゥーっと、嵐君の瞳から、涙が零れたのが見えた。
え、泣いてるの……?
「ど、どうしたの?」
あたしは手で嵐君の涙を拭う。
「嬉し泣きだ、あんま見んな」
嵐君は左腕で目元を隠してしまう。
そんな嵐君が、たまらなく愛しくなって、その頭を撫でた。
「そっか……あたしも、嬉しい……っ」
つられて、あたしまで泣いてしまう。すると、慌てて嵐君が起き上がって、あたしの涙をゴシゴシと拭う。
「なんで、向日葵も泣いてんだよ?」
そう言う嵐君は困ったような、嬉しそうな顔で笑った。
「嬉し泣き」
あたしも嬉しくて、嵐君に笑いかけた。